ニュースリリース
2016年8月2日
日本アビオニクス株式会社
ガラス越し計測、ガラス表面計測、火炎測定用 特定波長モデル
サーモカメラの専用モデル3機種を同時発表
国産非冷却型センサにより、特定波長モデルで唯一の
メンテンスフリーと低価格化を実現

日本アビオニクス株式会社(本社:東京都品川区、社長:秋津 勝彦)は、赤外線サーモグラフィカメラ(以下、サーモカメラ)の特定波長モデル「R300BPシリーズ」の新モデルとして、【R300BP-TG】(ガラス越し計測モデル)、【R300BP-OG】(ガラス表面計測モデル)、【R300BP-OF】(火炎計測モデル)を2016年8月2日に一斉発表いたします。
特定波長モデルは、特定波長の赤外線のみを計測することにより、一般的なサーモカメラでは不可能な計測を可能にします。ガラス越し計測ではチャンバー内の試験体の温度評価や高性能ランプの開発、ガラス表面計測では材料検査や品質管理、火炎測定では燃焼試験や防災関連の研究などにご利用いただけます。
本製品は、国産非冷却型センサの優れた感度特性により、特定波長モデルとしては業界唯一のメンテナンスフリーと、大幅な低価格化を実現いたしました。冷却器が不要のため、メンテナンスフリーとなり、高額な冷却器の保守費用が0となりました。また、高額な冷却型モデルと比較して、価格はおよそ半分となっております。さらに、質量わずか1.5kgのポータブルタイプで、バッテリ駆動により持ち運んで簡単に撮影することが可能です。
当社は、赤外線に関するノウハウを最大限に活用したソリューション提案により、お客様の具体的な困りごとを解決する手段を提供してまいります。
<技術背景>
現状、一般的に普及しているサーモカメラは、長波長領域(8~14μm)に感度がある「非冷却型」センサを搭載しています。しかし、火炎やガラス表面、ガラス越しの温度計測を行う場合は、3.0μm~7.4μm帯の赤外線放射を検知する必要があるため、より短波長領域に感度のある「冷却型」センサを搭載したサーモカメラが適しています。ただし、一般的な冷却型サーモカメラは、非常に高額で質量が平均3kg以上と重く、更には消耗品である冷却器のメンテナンスに費用や時間がかかることから、現場への普及の妨げとなっていました。
当社は、国産の非冷却型センサで3.0μm~7.4μm帯の赤外線放射を検知することにより、これらの課題を解決しました。
■型式
モデル名 | 特長 | 出荷開始 |
---|---|---|
R300BP-TG | ガラス越し計測モデル | 2016年9月上旬 |
R300BP-OG | ガラス表面計測モデル | 2016年9月上旬 |
R300BP-OF | 火炎計測モデル | 2016年9月上旬 |
<オプションレンジ>
品名 | 仕様・備考 | 出荷開始 |
---|---|---|
一般計測用 0~500℃レンジ |
測定波長:8~14μm 温度測定範囲:0~500℃ 温度分解能:0.3℃ at 30℃ (SN改善時) 温度精度:±2℃ or ±2% |
2016年9月上旬 |
■各モデルの概要
○ガラス越し計測モデル R300BP-TG
新材料による素子開発において真空チャンバー内の試験体の温度評価をしたい、最新型の高性能ランプの内部温度をモニタリングしたいなど、ガラス越しで温度計測をしたいというニーズが高まっております。これらの用途では、接触式での温度計測が難しいことから、非接触による温度計測が望まれます。しかしながら、一般的に普及しているサーモカメラが検出する波長の赤外線(8~14μm)はガラスを透過しません。そのため、窓材にシリコンなどの赤外線透過材料を使用する必要がありますが、可視光線が通らないので肉眼で内部を観測できない、そもそも材料を変えられない、といった問題がありました。
【R300BP-TG】は、石英ガラスやホウケイ酸ガラスを透過する3~3.56μmの波長に感度を持たせた、ガラス越し計測用サーモカメラです。ガラス越しでの温度計測の実現により、製品設計や品質検査の効率化に役立ちます。


○ガラス表面計測モデル R300BP-OG
ガラス製造時における温度管理は、品質をコントロールするうえで非常に重要です。しかし、成型時のガラスの温度を接触式温度計で計ることは品質を損なうことになるため、現状は職人の経験と勘に頼っています。この経験と勘を定量化するには、非接触での温度計測が必要となります。しかしながら、一般的に普及しているサーモカメラが検出する波長の赤外線(8~14μm)はガラスの放射率が低く、正確な温度測定を行うのは困難です。
【R300BP-OG】は、ガラスの放射率の高い5.2~7.4μmの赤外線波長に感度を持たせた、ガラス表面温度計測用サーモカメラです。これにより、ガラス成形や徐冷時のガラス温度をモニタリングして適切な温度コントロールを行うことができるようになるため、製造時間の最適化、安定した品質維持、更には、歩留まりの改善につながります。


○火炎温度計測モデル R300BP-OF
火炎の温度を測定する方法として熱電対を使う方法があります。しかし、火炎に熱電対を挿入すると炎の形が変形して正しく計れない、揺らぎにより測定位置が特定できない、火炎が大きくなる場合は近づくと危険である、といった問題があります。そのため、非接触による温度計測が望まれます。しかしながら、一般的に普及しているサーモカメラが検出する波長の赤外線(8~14μm)は火炎からの放射率が低く、適切に温度を測定することができません。
【R300BP-OF】は、火炎の放射率が高い4.25~4.75μmの波長に感度をもたせた、火炎温度計測用サーモカメラです。非接触式ですので、火炎の形状に影響を与えることなく、安全な距離を保つことができ、燃焼試験や金属の溶接作業における火炎温度の計測に有効です。

(火炎の温度が実際より低く表示される)

(火炎温度を正確に測定できる)
■新製品の特長
1)国産非冷却型センサでメンテナンスフリーを実現!
国産センサの優れた感度特性を活かし、非冷却型センサでガラス越し温度計測、ガラス表面温度計測、火炎温度計測に対応可能としました。これにより、冷却型センサを搭載したモデルと比較して大幅な低価格化とメンテナンスフリーを実現。センサ冷却器の交換が不要のため、寿命を気にせず使用でき、保守費用もかかりません。
2)優れた機動性と操作性が、現場計測に威力を発揮
- バッテリ駆動で、わずか1.5kgの小型・軽量
- 様々なアングルで撮影可能な回転式LCDモニタを搭載
- ソフトウェアで解析可能な動画をSDカードに記録(10Hz)、これにより短時間で必要なデータを収録
3)リアルタイム解析が可能なソフトウェアNS9500Proを標準添付
- カメラとPCをUSBで接続して、最速60Hzの高速動画をPCに収録可能
- 熱画像と同時に可視画像の動画をPCに収録可能(最速7.5Hz )
- PCからカメラのフォーカスや設定をコントロール可能
- 任意点(最大10点)やエリア内の最高/最低/平均温度を測定しながら、トレンドグラフをリアルタイムに表示
- 収録されたデータを多彩な機能で解析でき、CSV出力からレポート作成までサポート
4)一般計測用0~500℃レンジ(オプション)を追加可能
8~14μmの測定波長で0~500℃を測定できるオプションレンジを使えば、通常のサーモカメラとして使用できます。
カメラ1台で、特殊計測と一般計測に対応でき、使用シーンが大きく広がります。
5)カスタマイズに柔軟な対応ができる基本設計
お客様のご要望に合わせて、測定波長や温度レンジを柔軟に特注対応します。
■本製品についての注意事項
本製品にてガラス越し計測・ガラス表面温度計測・火炎温度計測を行う際、対象物や対象物温度の条件によっては、正確な温度計測が行えない場合があり、特注フィルタや技術的調整が必要になる場合がございます。当社では、赤外線機器開発において永年培った技術を保有しており、お客様のご要望にお応えできる体制を整えておりますので、営業部門へお気軽にご相談をお願い致します。
<製品情報>
- ガラス越し計測モデル インフレック R300BP-TG 製品の詳細はこちら
- ガラス表面計測モデル インフレック R300BP-OG 製品の詳細はこちら
- 火炎計測モデル インフレック R300BP-OF 製品の詳細はこちら
【本件に関するお問い合わせ先】
赤外線サーモグラフィ事業部 営業部 営業推進グループ 宮田、入江
〒141-0031 東京都品川区西五反田8-1-5 五反田光和ビル
TEL: 03-5436-1371
E-mail:businessdevelopment@ml2.avio.co.jp
本リリースに掲載されている内容は、発表時のものです。
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