EV電池モジュール用
FPCの固定方法
~パルスヒートで熱かしめ~
接合方法:パルスヒート樹脂加工(かしめ)
本事例では、EVモジュール用FPC(フレシキブル基板)を固定する方法として、パルスヒートによる樹脂かしめを紹介します。
EV用電池モジュール用配線がケーブルからFPCへ
カーボンニュートラルを実現するために、2035年までに乗用車の新車販売に占める電動車を100%にすることを日本政府は掲げています。自動車メーカーも電動車の開発・性能向上に取り組んでいます。
電気で走る距離を延ばすには、電池セルの性能向上もありますが、容量を多くするために、セルの枚数も増えていきます。
リチウムイオン電池では、事故防止のためにバッテリー・マネージメント・ユニット(BMU)と各セル接続して電圧を監視します。
各セルの電圧を監視するため、BMUとの接続にはケーブルを使っていました。
セルが多くなると、接続する箇所が多くなり、ケーブルも増えるため重量が重くなります。
誤配線のリスクも多くなりますね。
少しでも軽量化や誤配線をなくすために、ケーブルからFPC(フレキシブルプリント基板)の利用が始まっています。
フレシキブルプリント板(FPC)とは
FPCとは、Flexible printed circuitsの略で、日本語では「フレシキブルプリント回路基板」または「フレキシブルプリント配線板」と呼ばれます。
ポリイミドなどの柔らかく絶縁性を持った薄いフィルムと、銅箔などの導電性金属を張り合わせたシートに電気回路を形成したものです。紙を曲げるように柔軟性のあり、薄く軽量です。
おもに携帯電話などの情報端末やデジタルカメラなどの電子機器に使われるほか、コネクターなどにも使われています。
ケーブル配線をFPCに置き換えるメリット
ケーブル配線をFPCに置き換えることで、スペースの節約や、ケーブルを接続する作業の軽減ができます。FPCは、薄く曲げることもできるため、狭小スペースや屈曲部への接続も可能です。そのため、配線の自由度が高まります。

また、ケーブル配線では、ばらつきや誤配線が発生しがちです。FPCでは、仕上がりよく誤配線が少なく、製造品質の安定化が図れます。
課題は、FPCの固定方法です。ねじ止めや金属フレームでの固定では、重量が増してしまいます。そのため樹脂かしめで、固定することで軽量化をすることが可能です。
FPCの固定の課題は、パルスヒートで解決できます。
パルスヒートとは
パルスヒートとは、はんだコテに相当するヒータチップ/ヒータツールと呼ばれる金属製の加熱体に電流を流し、抵抗発熱を利用します。抵抗発熱の熱とシリンダーヘッドによる加圧で瞬間的に、はんだ付け、熱圧着、樹脂溶着を行う当社独自の工法です。
ヒータチップ/ヒータツールの温度を、熱電対で計測しフィードバック。設定した温度プロファイルを再現します。
特長
- 温度の立ち上がりが速く、温度の再現性がよい。
- プリ・メインヒートなど温度プロファイルが容易に実現できる。
- 局部加熱のため、周囲への熱影響が小さい。
- 押さえつけたまま冷却させるため、浮きよる未接続がない。
- 作業者の熟練度に左右されない。

パルスヒートの樹脂かしめのメリット
パルスヒートは、ヒータチップ/ヒータツールと呼ばれる金属製の加熱体に電流を流し、抵抗発熱で瞬間的に加熱する方式です。
温度をモニタリングして設定した温度で樹脂を溶かします。また温度制御ができるので、常時加熱方式にくらべ安定した樹脂かしめを実現します。しかも局所加熱のため、周囲への熱影響を最小に抑えられます。

メリット
- 安定した繰り返し樹脂かしめが可能です。
- 瞬間加熱方式により、樹脂の糸引きを防止できます。
- 樹脂が固まるまで、抑えることで、きれいな外観仕上がりを実現します。

電動車向けバッテリーモジュールでは、軽量化のために従来のケーブル配線から、FPCによる配線に代わりつつあります。
FPCを固定するには、樹脂を使った固定が軽量化に適しています。固定方法は、熱で樹脂を溶かす“熱かしめ”になります。しかし常時加熱方式で行うと、糸引きを起こす可能性や周辺の部品などへの熱影響があります。
瞬間加熱方式のパルスヒートであれば、温度コントロールが可能です。パルスヒートであれば、糸引きなくきれいな外観のかしめができ、しかも周辺への熱影響を最小に抑えられます。
FPCの固定なら、熱かしめの日本アビオニクスにお問い合わせください。
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