DACケーブルの細線を基板にはんだ付けする際の留意点

加工方法:はんだ付け

大容量通信が求められる生成AIなどのデータセンターでは、処理速度向上のためラック内のスイッチとサーバーの接続や、隣接するラック間での伝送に使われるDACケーブルも高速化が求められています。
DACケーブル(Direct Attach Cable)とは、データセンターやサーバールームのスイッチやサーバーなど短距離で使用される高速通信ケーブルです。光ファイバケーブル規格のコネクタ(SFP、QSFPなど)を使用しますが、芯線は銅線で電気信号を直接伝送します。
DACケーブルは、今後800Gbpsから1.6Tbpsなどの導入が進むと予想されています。
DACケーブルの通信速度を上げるには、ケーブルの本数を増やす必要があります。

限られた基板のスペースでケーブルの本数を増やすために、線径の細いケーブルが使われます。

DACケーブルにはAWG32などの細線が使用されますが、細線とリジッド基板とのはんだ付けには多くの注意点があります。AWGは、線径や断面積、電気抵抗率などを定めた米国の規格です。

DACケーブルの細線をリジッド基板にはんだ付けした基板

細線とリジッド基板のはんだ付けの課題

AWG32は直径0.2mmという細線です。複数の細線をリジッド基板にはんだ付けするには高い精度と品質管理が必要です。

はんだ付け品質のばらつきと通信性能への影響

AWG32のような細線では、はんだ量やはんだの高さのわずかな違いが、接合部の形状や芯線の露出の長さに直接影響します。

特にDACケーブルでは、高周波信号を伝送するため、はんだ付け部分の微細な形状のばらつきが信号反射や通信エラーの原因となり、通信速度や信号品質の低下につながります。

そのため、設計通りの寸法管理と、線材ごとの高さのばらつきを最小限に抑える必要があります。

物理的ストレスによるリスク

高速通信用DACケーブルには、PTFEなどの特殊な誘電体材料が用いられています。
これらの材料は高温ではんだ付けすると膨張・変形しやすく、結果として信号品質が劣化し、伝送の限界性能が落ちることがあります。

そのため、適切な温度管理と材料特性に配慮した作業設計が求められます。

細線のはんだ付けの品質を安定させるには

高速通信用DACケーブルの細線とリジッド基板のはんだ付けにおいて、品質を安定させるための具体的な対策は「治具による固定」、「温度コントロールの自動化」、「はんだの供給量管理」の3点に集約されます。

1. 治具による固定(物理的安定性の確保)

AWG32は非常に細いため、わずかな振動で位置がずれてしまいます。固定が不十分だと位置ずれが起きやすく、品質がばらつく要因となります。

  • 専用クランプ治具:ケーブルの被覆部分をしっかり固定し、芯線が基板パッドの真上に正確に、かつ浮きがない状態で配置されるよう固定する。
  • テンションフリー:はんだ付け部に張力がかからない状態で固定する。

2. 温度コントロールとプロセスの最適化

細い線は熱容量が小さいため、過加熱による被覆の溶融や、加熱不足によるイモはんだが起きやすくなります。

  • パルスヒート方式の採用:コテ先を常に熱しておくのではなく、加圧した状態で瞬間的に電流を流して発熱させる「パルスヒート(瞬間加熱)」方式が有効です。

パルスヒート方式は加熱時間と温度をミリ秒単位でデジタル管理できるため、作業者の熟練度に関わらず安定したはんだ付けが実現できます。

3. はんだの供給量管理

  • 基板へのはんだ供給:基板の端子にはんだが均一に供給されないと、はんだ量のばらつきがインピーダンスに影響します。

はんだ量のばらつきを抑えるため、基板側に予備はんだを施し、はんだ量をコントロールします。

これらの対策を組み合わせ、パルスヒートユニットなどの自動・半自動設備を導入することが、高速通信用DACケーブルの実装品質を安定させる最も確実な方法です。

細線とリジッド基板のはんだ付けは、
日本アビオニクスのパルスヒートがおすすめ

パルスヒートは熱電対でコテ先(ヒータチップ)の温度を監視し、過加熱や加熱不足を防止します。変位制御ができるタイプは、はんだの高さを安定化し、インピーダンスへの影響を抑制します。

パルスヒートの接合プロセス

パルスヒートは幅の広いヒータチップで複数の細線を一括してはんだ付けすることが可能です。適切な温度制御ではんだを溶融させ、発熱が完了後、冷却するまで加圧を継続します。冷却が完了してから加圧を止めるため、はんだ付け部分の浮きなどを抑制します。浮きを抑制することで信号反射や通信エラーが抑制され、通信速度や信号品質の低下を防止します。

接合プロセス
図1 接合プロセス

変位制御機能ではんだの沈み込み量を計測し、設定した値に到達したら発熱を停止し冷却します。
加熱中の変位量を制御することで、仕上がり高さのばらつきを抑え、安定した接合品質を実現します。

変位制御でインピーダンス影響を低減
図2 変位制御でインピーダンス影響を低減

DACケーブルに使われるAWG32など細線のはんだ付けには、温度と変位を制御できるパルスヒートユニットTCW-DP100Bをお勧めします。
詳しい仕様は、変位制御パルスヒート電源TCW-DP100Bの製品ページをご覧ください。

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